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【比較鑑賞】『ロリータ』がこの世に2作も存在するって知ってた?

アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をや...

理想の恋愛ってどんなのだろう。
妄想して何日もメシが食えちゃう恋愛。
現実の毎日はなーんにもうまくいってなくても、考えるだけで、あま~い世界に連れて行ってくれる恋愛。

私の場合......それが体験できるのが『ロリータ』だ。

原作は、ウラジーミル・ナボコフによる1955年の同名小説。舞台は1947年のアメリカ・ニューイングランド地方。いわずと知れた、中年男性と魅惑的な少女との恋愛と破滅を描く問題作だ。

主人公の名前はハンバート・ハンバート。名字と名前が一緒ってどゆこと!? って感じですが、これがまたいい男!
初老のイケメン。ヨーロッパ出身の仏文学者で大学教授。インテリ臭プンプン。
大学教授の職に就くため、アメリカにやってきた彼は、ロリータが住む家に居候させてもらうことになる。

そんなイケメンインテリハンバートに、ロリータの母シャーロットは、コロっと魅了されてしまう。
でもハンバートはあろうことか娘の方に、ドカンと恋に落ちてしまうのだ。

MGM / Photofest / Zeta Image

ロリータを最初に映画化したのは、かの有名なスタンリー・キューブリック監督。1961年に、モノクロ映画で撮影している。

そして36年後の1997年に、『危険な情事』(1987年)で知られるエイドリアン・ライン監督が再度映画化する。

ロリータを描く映画がこの世に2本。
そうなると、どっちのロリータがいいのか? という論争がわき起こる。
......わたくしアカリは断然、ライン監督の『ロリータ』派だ。

MGM / Photofest / Zeta Image

上の写真はキューブリック作品でのロリータ登場シーンだが、
ライン作品でのロリータ登場シーンは、私が今まで観てきた映画のあらゆるシーンの中で、一番美しい。と思っている。
(写真が載せられないので、ぜひ実際の映画で観てください!)

ニューイングランド地方の短い夏の透明感ある光。芝生。
乱反射するスプリンクラーの水。
横たわるロリータ。細長い手足。
ピチッ、ピチッと音が聞こえてくるんではないかと思わせるくらいの、ぴっちぴちの若さと美しさを見せつけてくる魅力的な少女。
映画のカットとして美しいだけでなく、ハンバートがロリータに一瞬で恋に落ちてしまった様子が、手に取るように分かる仕上がりだ。
物語の伏線になるような、切ない音楽も本当に本当に心を打つ。

ストーリーを比較してみても、
キューブリック作品では、ハンバートはちょっと悪い人物、ロリータは小悪魔みたいに描かれている。
一方のライン作品では、ハンバートはただただ少女を愛する人物として、ロリータはただただ普通に生きていたらみんなから愛おしいと思われちゃった、みたいに描かれている。
ライン作品の方が、すべての事は誰も悪くなく、必然だったのだ、と思わせてくれる。

MGM / Photofest / Zeta Image
※写真はキューブリック作品

ただ、オープニングシーンの出来栄えに関しては、キューブリック作品に軍配を上げたい。
キューブリック作品では、あどけないロリータの足に、ハンバートがペディキュアを塗っていくシーンが描かれる。
まだ白黒映画の時代だが、間違いなく真っ赤なペディキュアを塗っているんだと観客に想像させる、まさにキューブリック・マジック。
このシーンは、ライン作品ではカットされている。

キューブリック作品とライン作品を比較すると、いろいろな共通点や相違点が見えてきて、作品鑑賞の奥が深まると思うので、可能であればぜひ2作品とも観ていただきたい。

MGM / Photofest / Zeta Image

『ロリータ』という作品は、「今の時代じゃこれはナシだよなー」と思う部分も少なくない。
ハンバートを演じたジェレミー・アイアンズは、その後しばらく干されたらしいし、いくつかの国では上映すらままならなかった。

でもやっぱり、映画って、現実の世界じゃあり得ない、夢を見させてくれるものじゃないですか。
中年男の少女に対するマジ恋愛、というドン引きシチュエーションの中でも、ハンバートのロリータに対する猛烈な純愛は、やはり真実。
それを、2人の監督が、それぞれの視点で描いてくれているのだから、これはやっぱり観るしかない。

写真:ロイター/アフロ

あまりにも有名すぎる問題作『ロリータ』。
あなたはどちらのロリータがお好みですか?

『ロリータ』(1961)
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『ロリータ』(1997)
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アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をやらされた経験アリ。『Lolita(1997)』『SATC』大好き。

記事はここで終わりです。

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