ここから本文です

生理ナプキンを作ってヒーロー?『パッドマン 5億人の女性を救った男』

バラトヒポ
バラトヒポ

好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。 ...

『パッドマン 5億人の女性を救った男』 予告編

『パッドマン 5億人の女性を救った男』というタイトルを見て「5億人とは大げさな」と思うかもしれません。
アメリカの架空スーパーヒーローが全米のすべての人を救っても3億ですから。
でも実際にはインドの女性どころか、世界中の女性を救おうとしている実在の人物の映画です。

物語は2001年になっても血を汚れと考え、女性は生理になると家の中には入れず、バルコニーに設えた寝床で寝るという因習が残るインドの田舎町から始まります。
貧しいながらも手先が器用で小さな工場で信用されているラクシュミは、妻のガヤトリが生理の時に不衛生な汚い布で処理していると知りショックを受けます。
愛する妻の体を心配した彼は生理用ナプキンを買いますが、高すぎると受け取ってもらえません。
それならと自分で作ってみますが失敗ばかり。やがて生理について話すのも恥と考える周りの人たちから変わり者と疎まれ、母親や姉妹からも嫌われ、ガヤトリも実家に連れ戻されてしまいます。
追い出されるように故郷を出たラクシュミでしたが、諦めず研究を続け、苦労の末、安価なナプキンを製作する機械を作り上げます。
そしてその機械を使って次の行動に出ていきます。

ラクシュミのモデルはアルナチャラム・ムルガナンタムという実業家。

写真:ロイター/アフロ

2014年のタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、TEDでの講演は2016年にネットに公開されています。
日本のテレビでもドキュメンタリー番組が放送されたそうですが、私もこの映画を通して初めて知りました。
インドでも多くの人は彼のことを知らないようです。

連載していた新聞のコラムの取材で彼のことを知った元女優で小説家のトゥインクル・カンナーは多くの人に知ってもらうと小説にします。
しかし本を読む人は限られる、もっと多くの人に知らせたいと映画化を決意します。

写真:Shutterstock/アフロ

ラクシュミを演じたアクシャイ・クマールは彼女の夫。
優しさ、明るさ、泥臭さ、そして芯の強さとラクシュミにピッタリです。
でもトゥインクルは最初は夫を主演させようとは思っていなかったそうです。
米経済誌フォーブスの「世界で最も稼ぐ俳優」ランキングでインド人トップとなる7位の人気俳優が出演するような大作ではないと考えたのかもしれません。
むしろ映画化の話を知ったアクシャイが頼みこんだといいます。
また監督のR.バールキも実在の人物がベースということで最初は抵抗があったものの本人と直接話して話をきめたといいます。
ムルガナンタム氏のやったことに人を動かす力があるということでしょう。
しかし堅い伝記映画ではなく娯楽作品になっています。

中でも実存しなかったラクシュミの協力者となるパリーは大きなポイント。
名優の娘としてスター街道を歩いてきたソーナム・カプールが都会的で聡明で理解のあるパリーは、長い下積みを経たラーディカー・アプテーが演じる田舎の迷信深く頑迷なガヤトリとは全く正反対。
経済成長の恩恵を受け豊かになっていく都市部と昔ながら生活で貧しい農村部を英語名のIndia(インディア)と古い呼び方のBharat(バーラト)で表して、その格差や対立を表すことがありますが、それを象徴するようでした。

冒頭から美しい風景と場面に合わせて盛り上げる音楽はR.バールキ監督がプロデューサーを務めた『マダム・イン・ニューヨーク』と同じアミト・トリヴェティが作曲。
「スッパルヒーロ、スッパルヒーロ」とインド訛りのキャッチーなタイトルソングはコミカルですが、本作を観た後は聞くたびに胸が熱くなります。
特に「生理用品の話なんて」と敬遠するような男性にこそ観ていただきたい真のヒーローの映画です。

バラトヒポ
バラトヒポ

好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。

記事はここで終わりです。

新着記事一覧

ポプコニスト

あなたの映画ライフに特別なコラムを

最新記事

注目の映画まとめ