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『万引き家族』と『ボヘミアン・ラプソディ』のディテールに感服...年間ベスト座談会・第一弾

ニック
ニック

カッコイイ男の生き様が描かれた作品に胸が高鳴る「一本気なポプコニスト」。生涯ベストは、パチーノ&デ・...

クリスマスを間近に控えた12月のとある日。ポプコニストたちが「2018年最高の映画」を語るために集結しました。メンバーが悩んだ末に選んだ作品は以下の通り。

ニック
『ザ・アウトロー』『万引き家族』
チャンス・ザ・タカシ
『君の名前で僕を呼んで』『ボヘミアン・ラプソディ』
へらへら眼鏡
『ボヘミアン・ラプソディ』『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』
アカリ
『万引き家族』

1時間あまり繰り広げられた「年間ベスト映画座談会」第1回の模様をお届けします。※作品のネタバレを含む内容ですのでご注意ください

ニック:みなさんの2018年最高の映画が出そろいました。では『万引き家族』一点を選んだアカリさんの感想からお聞きしたいと思います

アカリ:是枝監督の作品が好きで『誰も知らない』から観ているんですが、『万引き家族』は原点回帰というか、戻ってきた感じがしました。是枝監督もメジャーな映画監督になって、メジャーな女優を起用するようにもなり、最近はストーリーもよくあるストーリーになっていたんですけど、『万引き家族』では昔の是枝監督が戻ってきた感じがして、良かったです。カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールも獲ったので、「やったー」みたいな感じでした。

ニック:私も『誰も知らない』から観てきて『万引き家族』に最後にたどり着いたという感じがしました。

アカリ:是枝監督は家族をずっと描いているじゃないですか。でも、社会的な批判というか、一石を投じるところもあると思うんです。『誰も知らない』だったら「貧困」とか「ネグレクト」とか。『万引き家族』だったら「犯罪」とか「虐待」とかあると思うんです。それが押しつけがましくなくて、「これが問題だ」みたいな感じではなく、それを飄々として、ただ家族を描いているだけなんです。

ニック:樹木希林さんが亡くなったからではないけど、希林さんの最後のシーンを見返すと、もう涙なしには観れないんです。是枝監督がこれまで描いてきた家族の物語の最高峰だと思うし、キャスティングしたい人をキャスティングした気もして、俳優の演技もすごく良かったので、私の中では是枝監督のベスト。それがカンヌで受け入れられて、たぶん、アカデミー賞の外国語映画賞でもノミネートされるはずなので、これからが楽しみです。

(C) 2018『万引き家族』 製作委員会

チャンス・ザ・タカシ:撮影監督が代わりましたよね? 『三度目の殺人』までは写真家の人(瀧本幹也)が撮影だったかな。『万引き家族』から絵のカットが変わったんですよ、それがちょっと印象的だった。あと、小道具とか家のあの雰囲気がヤバい。

アカリ:わかるー!

チャンス・ザ・タカシ:ディテール、ヤバすぎだろみたいな。

アカリ:是枝監督はすごいですよね。小道具がヤバい、台所の汚さ具合がすごい!

一同:(笑)

アカリ:『海よりもまだ深く』のときよりも、ちょっと貧乏なんですよね。まな板の黄ばみ具合が、微妙にちょっと違っていて、向こうは綺麗で、こっちはちょっと汚なくって。

チャンス・ザ・タカシ:風呂も汚いんですよね(笑)。でも、よくイメージできるというか。

アカリ:冷蔵庫を開けたときの、淵の黄ばみとか!

へらへら眼鏡:へー!

チャンス・ザ・タカシ:あとは神がかった俳優陣ですね。好きな人しかいない!

アカリ:もう是枝ファミリーですよね。リリー・フランキーも、樹木希林さんもそうだし。ほんと、家族で家族映画作ったみたいな感じ。

へらへら眼鏡:いいこと言いますね。

アカリ:だからリアリティーがあるんですよ。普通に生きている人たちで勝手にカメラ回したみたいな感じがすごいあった。

チャンス・ザ・タカシ:はい、じゃ、次『ボヘミアン・ラプソディ』。(笑)

ニック:ど、どうぞ(笑)

チャンス・ザ・タカシ:みなさんは『ボヘミアン・ラプソディ』を観たんでしたっけ?

ニック/へらへら眼鏡:はい、観ました!

アカリ:観てないです!すいません!

(C) 2018 Twentieth Century Fox

チャンス・ザ・タカシ:じつは『ボヘミアン・ラプソディ』は2回観ました。最初は興奮して観て。2回目は編集すげぇーみたいな。

チャンス・ザ・タカシ:鏡をモチーフにしたシーンがあるんですけど、あれとか1曲目の『Somebody To Love』の中に「鏡」って言う歌詞が入ってるから、そこが散りばめられてるとか、そういう細かいところがあった。冒頭にクイーンとU2がすれ違うシーンとかも、Twitterで見て、どんだけディテールがすげぇーんだって思いましたね。

へらへら眼鏡:鬼ディテールでしたね。

ニック:監督のブライアン・シンガーはクレジットされてるけど、途中で降板してるじゃないですか?

へらへら眼鏡:どうやってまとめたんだろうって思いました。

チャンス・ザ・タカシ:撮影がほぼ終わってたんでしたっけ?

へらへら眼鏡:途中らしいです。映画を観ているとわかるんですよ。あ、ここで変わったなって......。

一同:えーー!

へらへら眼鏡:本当にわかります! 演出も変わっちゃうし、カメラワークも変わっちゃうから......ああ、ここかって思った。

ニック:こんなにヒットするとは予想外でした。

へらへら眼鏡:現代を生きてるだけでクイーンの曲って、インストールされているというか。私も映画を観ていて、どの曲も知ってると思わなかったので、ビックリしたんですけど。あと、いい意味で話が単純と言うか......。

チャンス・ザ・タカシ:わかりやすい。

へらへら眼鏡:『万引き家族』とは正反対で、すごく正統派の話。仲間と出会って、バンドが大きくなって、挫折があって、大変なこともあって、でも最後に大きいコンサートを開くみたいなのが、それもすごいいい編集で......。

チャンス・ザ・タカシ:編集ヤバい。映画としてお手本すぎる。

ニック:全体的な編集って意味?

へらへら眼鏡:絶対に飽きないんですよ! 絶対に飽きないように作られてて。例えば、実家に帰ってきて、仲間がいて、みんなとご飯を食べているんだけど、ピアノを弾いているシーンがあるじゃないですか、普通だったら2つシーンを用意するところを、1個でまとめてやっちゃうんですよ。だから、飽きる前に次の情報が出てくるから、飽きてる暇がない。同じこと言ってる(笑)

アカリ:テンポがいいのとは違うんですか? 昔のアメリカのドラマみたいに、ポンポンポンといく......。

へらへら眼鏡:それもあると思うし。ロックバンドの成功って、今まで何度も何度も撮られていて、みんなもう大体何が起きるのかわかるじゃないですか。だから、情報がすごく圧縮されて置かれていて、脚本すげぇーって思いました。

チャンス・ザ・タカシ:8年かかってますからね!

アカリ:えー!(驚)

ニック:構想からね......。

アカリ:あれは本当にライブで撮ってるんですか?

チャンス・ザ・タカシ:あれはCGです。

ニック:動きは完コピしたんでしょ。

チャンス・ザ・タカシ:そうそう。

へらへら眼鏡:コーヒーの缶が同じ場所に置いてあるらしくって。

アカリ:えー!それはすごい!(驚)

ニック:最後の演奏シーンは、2時間くらいのストーリーを見せられて、あのライブに行き着くわけじゃないですか。これはポプコニストにも書いたんですが、彼らのストーリーであったり、フレディの人生がそのまま歌詞に投影されているみたいなところで感情移入してしまって、ほろっときてしまいました。

へらへら眼鏡:映画冒頭のカットもすごくいいんですよね。背中から始まって、猫がニャーって言ってるところ。

チャンス・ザ・タカシ:体験ですよね、映画の文脈を変えたというか、単純に観るだけじゃなくて、プラスで体験をさせてるというのがヒットの要因かな。

へらへら眼鏡:応援上映にも行きたくなりますよね。

ニック:映画の上映スタイルもここ何年か『アバター』くらいからでしたっけ、『ゼロ・グラビティ』もそうですけど、劇場で見ないと、その映画の世界観が伝わらない作品が、どんどん増えてるなと。

チャンス・ザ・タカシ:この映画が決定的かもしれない。その時代の。

ニック:そろそろ『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』か『君の名前で僕を呼んで』はどうでしょう?

へらへら眼鏡:『君の名前で僕を呼んで』も名作でしたね。

アカリ:これも観たかったけど(見れてない)!

へらへら眼鏡:目がヤバくなる、泣きすぎて......。

アカリ:そうなんですねー。これもなんか、LGBTじゃないけど、男の人同士......。

チャンス・ザ・タカシ:ヨーロッパの監督作品で、ヨーロッパの監督が話題になるのは久しぶりなんです。絵の作りが本当に北イタリアにいるような......撮影監督がタイの人(サヨムプー・ムックディプローム)なんです。

ニック:予告編しか観てないけど、すごい雰囲気がいい映画という印象です。

(C) Frenesy

チャンス・ザ・タカシ:主演のティモテ・シャラメは今マジで、レオナルド・ディカプリオの再来って言われてて......。

アカリ:え、まじっすか?

へらへら眼鏡:再来またか。

ニック:今まで何人いたんだ。

一同:(笑)

チャンス・ザ・タカシ:アカデミー賞もノミネートされたし。ストーリーとしては、バッドエンドというか。別れて、一方が結婚してしまって......。

アカリ:院生とかいう方? ひと夏やってくるんですよね?

チャンス・ザ・タカシ:アメリカからやって来た、その人が結婚しちゃって......最後はティモテ・シャラメ君が失恋するっていう......バッドエンディングなんですけど。(笑)

アカリ:じつは『BPM ビート・パー・ミニット』に(票を)入れてて。あまりにマイナーすぎるからやめたんですけど。

チャンス・ザ・タカシ:『BPM ビート・パー・ミニット』も観に行きましたよ。よかったです!

アカリ:押しつけがましくない恋愛映画ですよね。

(C) Celine Nieszawer

チャンス・ザ・タカシ:『君の名前で僕を呼んで』の監督は、次はめっちゃホラー映画の『サスペリア』を描くらしくて(笑)

へらへら眼鏡:えー。どしたどした!(笑)

一同:(笑)

ニック:(へらへら眼鏡さん)『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』はどうですか?

へらへら眼鏡:あ、そうだ。

ニック:観ましたよ。

チャンス・ザ・タカシ:ボクも観ました!

へらへら眼鏡:観ました? 観ました? 嬉しい!

へらへら眼鏡:1980年代くらいの韓国の政情を基にした実話のお話なんですけど、どこにでもいるような平凡な渥美清さんみたいなタクシー運転手が、ドイツ人のジャーナリストとタッグを組んで、ものすごく危険な紛争地帯まで記事を書きに行くみたいなロードムービー的な映画なんですけれど、なぜかこれを初めてデートする相手と一緒に行っちゃって......ものすごい空気になっちゃって(笑)

一同:(爆笑)

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ニック:あの時代の韓国っぽい雰囲気がすごく好きですね。暑苦しい感じがスクリーンから伝わってきて。

へらへら眼鏡:圧がヤバイ(笑)。こういうパワフルな映画が韓国でたくさん作られてて、やっぱり日本の映画と比べちゃいますね。別に比べるところじゃないんだけど、ただ質の高い世界的メッセージがある映画だったので、すごく観た後に衝撃を受けましたね。ハートフルな場面もあって。ジャーナリストと運転手と一緒について回ってくれる、通訳とかしてくれる男の子がいて。インテリじゃないんですけど、ちゃんと教育を受けた男の子がいて、その子がある他のタクシー運転手の家に一泊させてもらうんですよ。紛争から身を隠すために。大変な状況なんだけど、ちょっと盛り上がるんですよね。ご飯を食べて、仲良くなって、ドイツ人には言葉がわからないんだけど、みんなで盛り上がって、いい夜を過ごすシーンがあるんですよ。で、その男の子はそこで踊ったりするんですね。そうしたら、翌日に殺されちゃうんですよ。フラグってよく言いますけど。その展開も何となく見えるんだけど、すごく胸に迫ってくる。本当に実在したかはわからないんですけど、キャラクター情景のうまさみたいなものが、これを暑苦しいって思う人もいるんだろうけど、それも韓国映画らしさでもあるし、いいなって思いました。

へらへら眼鏡:韓国映画って素直ですよね、作り方が......。

ニック:うん。うん。うん。

へらへら眼鏡:だから、なんか心から感動するなーって思いました。ただ、デートには向いてない。(笑)

一同:(笑)


『ボヘミアン・ラプソディ』
伝説のバンドQUEENのミュージックビデオ配信中!
配信終了日:2019年4月30日

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登場映画一覧

ニック
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カッコイイ男の生き様が描かれた作品に胸が高鳴る「一本気なポプコニスト」。生涯ベストは、パチーノ&デ・ニーロが共演した『ヒート』。

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