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感じて! ......たったワンシーンに宿る女優魂!『レオン/完全版』&『運命の女』

アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をや...

今回ご紹介するのは『レオン/完全版』と『運命の女』の2本です。
私が思うこの2本の共通点は、ワンシーンに宿る、すさまじい女優魂!

『レオン』は、言わずと知れた超有名作です。
リュック・ベッソン監督の1994年の作品。
ジャン・レノが演じる殺し屋のレオンと、当時まだ13歳のナタリー・ポートマンが演じる少女マチルダとの、軽快だけど悲しい、奇妙な共同生活を描く。

ColumbiaPictures/Photofest/MediaVastJapan

わたくしアカリがこのポプコニストに映画コラムを書かせていただくようになってまだ日は浅いですが、さすがに『レオン』は有名すぎるし、映画好きとしても定番すぎるだろ、と思って取り上げるのは控えていました。

......でも、先日再放送された『東京ラブストーリー』(1991年)の再熱現象を見ていると、どうやら最近の若い人(というワードは、自分が歳をとっているのを認めた気がしてホントは使いたくないけれど)はひと昔の作品を新鮮と感じるらしい。

ということは、もしかして『レオン』も新鮮と感じる人も多いのでは、と思って取り上げた次第。
昔は、テレビの「金曜ロードショー」で風物詩のように何度も放映されていましたよね~。(遠い目)
けどもしかしたら、最近の若者は、ナタリー・ポートマンと聞いて、『ブラック・スワン』の人? ディオールのCMに出ている人? と思うのかもしれない。
いやいや、ナタリー・ポートマンといったらやはり『レオン』が全ての始まりなんです!
見て! この若々しい姿!

ColumbiaPictures/Photofest/MediaVastJapan

さて、そんなナタリー・ポートマンの女優魂が見事にあらわれているのが、マチルダ(ナタリー・ポートマン)とレオン(ジャン・レノ)との共同生活が始まる、まさにそのシーン。
家族を皆殺しにされ、自分も命を狙われてしまったマチルダが、ドア越しに「扉を開けて......!」と悲痛な顔でレオンに助けを求めて念じるシーンです。

実はわたくしアカリの自己紹介文にもあるように、アカリは大学の時に自主制作映画の女優にかり出されたことが何回かあるんです。
(女優がやりたかったわけでも、女優として才能があったわけでもなく、ただ映画研究会に女子が少なかったので、女というだけで、友達監督の映画に女役が必要な度に出演させられていた)。

たいがい、前日か当日に、A4のくしゃくしゃのルーズリーフとかに書かれたプロットを渡されて、ろくなリハもなくいきなり撮影開始。
台本に書いてあるのは、こんな感じ。

(ドアの前にたたずむアカリを、カメラが正面どアップでとらえる。)
―――アカリ   「......。」 (困惑した様子で、今でも泣き出しそうな顔で、無言でたたずむ。)

......いやいやいや! こんなのできるわけないでしょ!
でも13歳のナタリーは、見事にこの演技をやってのけます。

2010年、ナタリーは『ブラック・スワン』でアカデミー賞主演女優賞を受賞するけれど、もう『レオン』の時点で、ほとんどの観客は、この少女の未来を予想していたのではないかと思う。特に、例のシーンを観て。

ColumbiaPictures/Photofest/MediaVastJapan

さて、もう一つの作品、エイドリアン・ライン監督の『運命の女』(2002年)はどうだろうか。
※ライン監督は、以前にご紹介した『ロリータ』(1997)の監督でもある。

原題は『Unfaithful』。Unfaithfulとは、忠実でない、不貞、浮気。
その名のとおり、浮気......というか不倫の話だ。

TwentiethCenturyFox/Photofest/ゲッティイメージズ

ダイアン・レイン演じる専業主婦のコニーは、リチャード・ギア演じる会社経営の夫エドワードと9歳の息子と、ニューヨークの郊外で何不自由なく暮らしている。
息子の誕生日パーティーの準備、学校のPTA準備と、忙しく母親業をこなす彼女だったが、風の強いある日、偶然、若くて魅力的なポール・マーテル(オリヴィエ・マルティネス)と知り合ってしまう。

そしてこちらの作品の「問題のワンシーン」は、
コニー(ダイアン・レイン)が、不倫相手のポールとの一線を越えてしまった、まさにその帰り道でのシーンだ。

実際の「ワンシーン」を観て欲しいので詳しい描写は避けるが、
一線を越えてしまった戸惑い、喜び。
夫や息子への申し訳なさ、自責の念、それでも感じる快楽。体に残る感覚。
冷静を取り戻そうとする気持ち。悲しさ。高揚感。
恥ずかしさ、女としての喜び。
不倫の楽しさ。これからどうなってしまうのだろうという不安。
でもアクセルを緩められない衝動。
感じられてはまずい不倫相手の残り香。でも消えて欲しくない残り香。

......とにかく、ありとあらゆる感情を、ダイアン・レインは、セリフひとつない、演技だけで表現している。
これはいつか、私が監督に求められていた演技そのものなんだと思う。(多分)。

ちなみに、ダイアン・レインはこの作品で、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。

TwentiethCenturyFox/Photofest/ゲッティイメージズ

映画は、監督、キャスト、スタッフ、いろいろな人が力を合わせて作り上げるものだ。
だから、女優がどんなに素晴らしい演技をしたって、それをどアップで撮るのか、ちょっと斜めから撮るのか、どういう光を当てて撮るのか......監督の意向やスタッフの力量によって、全然出来栄えが変わってくる。

でも、女優のキャリアは、そういった、勝手にスタッフに光を当てられて、勝手に監督に切り取られたシーンの出来栄えによって決まる。
そして、台本に書かれている「感情」を経験したことのある人にも、経験したことのない人にも、全ての人に共感を得られる演技をしないといけない。

だから、女優たちの演技は、ワンシーンごとに、全て本気なのだと思う。
何度テイクを重ねたって、大真面目に、全力で、感情を込められる演技をした女優。
監督や周りのスタッフのやる気に火をつけて、素晴らしいワンシーンを撮らせてしまう女優。
そんな女優だけが、アカデミー賞にノミネートされたり、最終的にオスカーを手にしたりするのだと思う。
そんな、奇跡みたいなワンシーンに魂を込める女優たちに、改めて敬意を表したい。

ColumbiaPictures/Photofest/MediaVastJapan

すてきな演技・すてきな映画に出会えた時のうれしさって、もしかしたら、観客として、そんなすてきな女優の不思議な魅力にとり付かれたことへのうれしさなのかもしれない。

女優経験者(?)アカリがほれこんだワンシーンを作り出した2作品、ぜひご覧くださいませ!

『レオン/完全版』配信期間:~2019/2/26

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映画『レオン/完全版』映画詳細はこちら

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恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をやらされた経験アリ。『Lolita(1997)』『SATC』大好き。

記事はここで終わりです。

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