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三沢光晴が突然死した日に公開されたプロレス映画の傑作『レスラー』

ニック
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カッコイイ男の生き様が描かれた作品に胸が高鳴る「一本気なポプコニスト」。生涯ベストは、パチーノ&デ・...

プロレスラーの光と影を描いた傑作である。スポットライトに照らされて、リングで戦う姿が「表」なら、知られざる私生活は「裏」といえるだろう。今作は、プロレスラーとしての輝かしい栄光と引き換えに失った過酷な現実をスクリーンに突きつける。

FoxSearchlight/Photofest/ゲッティイメージズ

主人公のプロレスラー、ミッキー・ロークが演じるランディ・ロビンソンは、1980年代に人気を博したレスラーだ。超満員の会場を沸かせ、宿敵との対決では全米中を熱狂させた。ランディは、プロレスラーとして頂点に立った男なのだ。そんな、かつてのスターは、20年後も現役で戦い続けている。いまは、田舎町の小さな会場で若手レスラーに胸を貸しながら、数百人程度の観客の前で戦う日々を送る。ファイトマネーも数百ドルしか渡されない。過去の栄光にしがみつきながらも、リングで戦うことだけがランディの生きがいなのだ。生活も苦しい。家賃の滞納が続いて、古ぼけたトレーラーハウスからも追い出されそうにもなる。

FoxSearchlight/Photofest/ゲッティイメージズ

落ち目のレスラーは人知れずもがいている。プロレスにすべてをささげたランディは、人並みの幸せとは無縁の人生を送ってきた。週末になると、自家用車のトラックで街から街を渡り歩く生活を続けていたため、ただ一人の娘とも疎遠な関係なのだ。さらに、長年の蓄積で体のあちこちにガタがきている。それでも、ランディからプロレスを取り上げることはできそうにもない。止める人さえいない。ランディは言う。
「大歓声を聞くと痛みは忘れてしまう」。
物語が進むにつれて、戦うことでしか生きられない男にも、逃れられない現実と向き合うことになる。

FoxSearchlight/Photofest/ゲッティイメージズ

今作が日本で劇場公開されたのは、2009年6月13日のことだった。じつはこの日、プロレスラーの三沢光晴さんが試合中に頭を強打して、帰らぬ人となった日でもあった。1990年代のプロレス・ブームをけん引したスターレスラーの死は、衝撃的なニュースとして当時、大々的に取り上げられた。くしくも、そういう時期に公開されたため、ランディと三沢を重ね合せるように観た人も多くいたはずだ。私もその一人だった。無敵の強さを誇った三沢が、なぜリングで命を落としてしまったのか......。そんな思いが頭から離れない日々の中で、今作と出会った。

劇中でランディは引退に追い込まれながらも、ある決断をして、迷うことなく突き進む。理解されなくてもいい。そんな思いから選んだ行動に心を揺さぶられた。そして、訪れるラストシーンは強い印象を残して、静かにエンドロールへと向かう。答えは、リングの中だけにあると表現しているようだった。

映画『レスラー』(R15+)を無料で視聴する
配信終了日:2019年3月22日 23:59

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カッコイイ男の生き様が描かれた作品に胸が高鳴る「一本気なポプコニスト」。生涯ベストは、パチーノ&デ・ニーロが共演した『ヒート』。

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