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余韻が続く...欧州で大ヒットした踊らないインド映画『めぐり逢わせのお弁当』

バラトヒポ
バラトヒポ

好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。 ...

昨年『ムトゥ 踊るマハラジャ』のデジタル・リマスター版が公開されました。
20年前に公開された『ムトゥ』は当時ブームとなり、興行収入は2億円、160万ドル。日本でのインド映画の興行収入トップを記録。この作品によってインド映画といえば「踊る」と印象づけられました。

しかしインド映画がどれも『ムトゥ』のように踊る作品なのかといえば、そうではありません。ヨーロッパ、南米など11の国でインド映画の興行収入トップとなり、特にフランスで400万ドルと日本での『ムトゥ』の2倍以上のヒットを記録した作品にはダンスシーンさえありません。それが『The Lunchbox』、日本では2014年に『めぐり逢わせのお弁当』という邦題で公開されました。

インドには家庭で作られたお弁当を預かり、職場に届け、空になった弁当箱を回収し、元の家庭に返すダッバーワーラーと呼ばれる弁当専門の配達業者がいます。細かく担当分けされた運び手が簡単な記号の組み合わせによる指示に従って中継され、目的地まで運ばれ、誤配は600万個に1個というほど正確だといわれています。しかし、この映画ではお弁当の配達先が間違うことから始まります。

長く勤めた会社をもうすぐ定年退職する寡黙で几帳面(きちょうめん)なサージャン。彼の仕事を引き継ぐ新入りのシャイクが人懐っこく話しかけても相手にしません。そんなある日、独り暮らしのサージャンはいつも頼んでいる料理店の弁当が急においしくなったことに気づきます。

一方、夫とうまくいっていない中年主婦のイラは上の階のオバさんからのアドバイスに従って、心を込めてお弁当を作ります。返ってきた弁当箱はキレイに空になっていたのに、夫と料理の話がかみ合いません。不審に思ったイラがお弁当に付けた手紙にサージャンが返事を書いたことから、弁当箱を通したイラとサージャンの文通が始まります。

圧倒されるほどの極彩色とは対極にある淡いモノトーンの世界。それぞれの登場人物が抱える心の傷や重荷が次第に明らかになり、蒸し暑いはずムンバイで寒さすら感じます。その一方でかたくなだったサージャンの心に少しずつ変化が見て取れます。

人生は列車を乗り継ぎ、どこにたどり着くのか。人生の折り返しを過ぎてからのほうが、このほの明るい寂寥(せきりょう)さに共感できるかもしれません。寒さも残る今の季節にふさわしい、余韻がいつまでも残る作品です。

映画『めぐり逢わせのお弁当』
GYAO!ストアで視聴する
販売期間:2015年3月18日~未定

スマートフォン視聴にはGYAO!アプリ(無料)が必要となります

> Yahoo!映画『めぐり逢わせのお弁当』作品詳細・ユーザーレビューはこちら

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好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。

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