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『パドマーワト 女神の誕生』は圧倒的な美を浴びて

バラトヒポ
バラトヒポ

好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。 ...

6月7日公開『パドマーワト 女神の誕生』 予告編

映画の"売り"は作品によって違います。
胸のすくアクション、頭をからっぽにするコメディー、涙を誘う感動的なストーリー、時には難しい問題を投げかける作品もあります。
では今回紹介する『パドマーワト 女神の誕生』の"売り"は何か? 
それは画面からあふれる映像美。インド映画ではよく上映中に声を出すことを許すことがありますが、この作品では言葉を失う絶句上映になるかもしれません。

13世紀末、現在のスリランカ、シンガール王国の王女パドマーワティはインド北西部から訪れたメーワール王国の王ラタン・シンと恋に落ち、王妃に迎えられます。
その頃デリーを中心とするイスラム教国ハルジー朝ではアラーウッディーンが叔父を殺し、スルタン(皇帝)となっていました。
パドマーワティの美しさを耳にしたアラーウッディーンは彼女を 自分のものにしようと大軍を率いて進軍。
しかし誇り高い戦士であるラージプート族の国、メーワール王国と激しい戦いが始まります。

ストーリーは16世紀に成立した物語「パドマーワト」がベース。メーワール王国があったチットールガルの観光案内でも紹介されています。
史実とは違う伝承のようですが深く信じている人も多いようです。

作品の中心はもちろん王妃パドマーワティ。
現在のインド映画を代表する女優、ディーピカー・パドゥコーンが演じます。
豪華できらびやかな衣装にも負けない美しさと気品は伝説の美女にうってつけ。
しかし、それは作品の中だけではありません。

実はこの作品、一時は公開が危ぶまれました。
きっかけはパドマーワティが夢の中でアラーウッディーンを慕うシーンがあるという噂。
日本でいえば「忠臣蔵の大石内蔵助が吉良に寝返ろうとしていた」というくらいありえない話。
これに怒った人たちがロケ現場に押し寄せ、監督が殴られるという事件も起きました。
制作サイドが噂を否定しても騒ぎは収まらず、公開が近付くにつれ反対運動は激化。上映予定の映画館が襲撃され、監督と主演女優の首に賞金を懸けると発言する人まで現れ、日本でも報道されるほどでした。

写真:ロイター/アフロ

こうした脅迫に女優ディーピカーは「怒りを感じるし、失望もしている。同時に面白く思っている。」とコメント。予定通りプロモーションを続けました。
二転三転の末、公開された後は、噂のようなシーンはなく騒ぎは鎮静化。映画は大ヒットとなりました。
この騒動で見せたディーピカーの冷静さ、意志の強さは作品中のパドマーワティを思い起こせました。

(C) Viacom 18 Motion Pictures (C) Bhansali Productions

パドマーワティの夫、自らの正義を貫くメーワールの王ラタン・シン役を演じたのはシャヒド・カプール。
戦いを前に誇り高いラージプートの気概を示すセリフは必聴です。忠実で勇敢な臣下がこの二人を支えます。

(C) Viacom 18 Motion Pictures (C) Bhansali Productions

対する強欲で手段を選ばないアッラウディーン役を演じたのはラヴィール・シン。
グロテスクなほど徹底した悪役ぶりですが、同時にしたたかな強さ、カリスマ性も見せます。

(C) Viacom 18 Motion Pictures (C) Bhansali Productions

アッラウディーンの欲望ために手段を選ばぬマリクの怪しさ、引き止めようとする妻のはかなげな姿、追放された逆恨みする僧侶やスルタンの座を巡る骨肉の争いの醜悪さ。
サンジャイ・リーラ・バーンサーリー監督は、それぞれの役に明確な色をつけ、それを積み重ねて美しく華やかに描いていきます。

上映時間を長いと思う人もいるかもしれません。でもテレビドラマだったら1年かかりそうな 壮大な物語が3時間弱にギュッと詰められています。
映画館の大きなスクリーンで濃密な映像美を浴びてみてください。
ディーピカーのダンスシーンだけでも料金以上の価値はあると思いますよ。

映画『パドマーワト 女神の誕生』2019年6月7日公開

映画『パドマーワト 女神の誕生』作品詳細はこちら
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好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。

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