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インモラルな2人だけの世界へようこそ 映画『火口のふたり』

アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をや...

(C) 2019「火口のふたり」製作委員会

危うくてインモラルな男女の非日常的な数日間を、濃厚ながらもあっさりと描いた作品。
『火口のふたり』を一言で表すとそんな感じだろうか。

結婚式を数日後に控えた直子(瀧内公美)と、その結婚式に出席するために秋田に帰省したかつての恋人、賢治(柄本佑)。
映画の登場人物はただ2人だけ。
その2人が数日間ご飯を食べ、たわいもない話をして、ただひたすら体を重ねる。

予告編を観れば容易に想像でき、かつ実際に映画を観ていただければ分かるが、この2人がやっていることはとんでもなくインモラルでアナーキーである。
でも、どこか懐かしく美しい秋田の風景、柄本佑さんと瀧内公美さんの芯のある演技・雰囲気、いろんなものが重なって、全体の印象としては不思議なほど繊細で美しい。
2人の背徳的な行為の数々も、必然の行為のように思えてくるから不思議だ。

この映画には、映画以外のさまざまな表現形態が用いられている。
直子と賢治のプライベート写真は、野村佐紀子さんのモノクローム写真として。
下田逸郎さんの音楽は、秋田のノスタルジックな雰囲気に絶妙にマッチしている。
ストーリー上重要な意味を持つ富士山は、蜷川みほさんの手による力強い絵として描かれている。

世間とか世の中の動きからちょっと外れて「身体の言い分」に身を委ねるには、自分の頭をふっと日常から切り離して、自分の心の奥底だったり、遥か遠くの過去や空想の世界にトリップすることが必要だと思う。
そこで、さきほど挙げたさまざまな表現形態が効いてくる。
『火口のふたり』は、ありとあらゆる表現方法を使って、私たちの日常の生き方を揺さぶってくる。

「人生って、結構難しいよね。」
直子の言葉に深く共感できるくらい深い人生を生きている人には、多分いろいろなことが響くことになるはず。
ぜひ、『火口のふたり』の濃厚な世界観に浸ってみてください。

『火口のふたり』予告編

映画『火口のふたり』
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アカリ
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恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をやらされた経験アリ。『Lolita(1997)』『SATC』大好き。

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