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お受験で振り回される夫婦を描く『ヒンディー・ミディアム』

バラトヒポ
バラトヒポ

好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。 ...

日本でもお受験に熱心な人が多いと聞きますが、インドでも過熱気味。
妊娠が分かった時から受験コンサルタントを訪れるなんてこともあるようです。
この作品『ヒンディー・ミディアム』は、そんなインドのお受験に振り回される 夫婦をコミカルに描きつつ、長年の関係を見直すまでの物語になっています。

デリーの下町にある洋服店の店主ラージは、学歴はありませんが商売上手。
父親から継いだ小さな店は大きなビルとなり、多くの従業員を雇っています。
娘のピアはもうすぐ小学生。
学校なんて気にしていませんでしたが、妻のミータは有名私立校でなければ落ちこぼれてしまうと言って聞きません。
住み慣れた下町から受験に有利な高級住宅地に引っ越し、上流階級の付き合いに気を使い、受験コンサルタントの冷たい仕打ちに耐え、あらゆる神様に祈願します。
しかし全て不合格。落ち込むラージとミータは低所得者層向けの別枠を知ります。
本来ラージには利用できない制度ですが、ブローカーの誘いに乗って手続きは完了。これで合格間違いなしと喜んでいたのもつかの間、不正利用の横行が告発されたことから、学校は応募者全員を訪問調査することを発表します。
「調査をやり過ごすまでは」と今度は貧民街に引っ越すのですが......

この作品の中ではインドにおいて英語がどれほど重要なのかが強調されています。
インドには何百もの言語があるといわれ、 北と南では言語の系統も違い、言語によって文字も全く違います。
そのためインド人同士でも出身地が違うと英語で話すということもしばしば。
またインドに限りませんが高等教育の多くは英語で行われ、都会で給料の良いの事務系の仕事に就くには英語は必須条件といいます。GoogleやMicrosoftの経営最高責任者のようにインドを出て世界的な大企業で活躍する人も少なくありません。もちろん英語を巧みに操ります。
日本語字幕でどうなっていたか忘れてしまったのですが、この作品には
「English is not a language in this country; it's a class (この国では英語は言語ではない。階級なの)」
なんていうセリフまでありました。

そんな英語熱を背景に、英語で授業を行う有名私立校の人気が高まり、受験競争の激しくなっていると言います。
この作品が作られたのも大学卒だけでは子供の受験に不利だからとMBAの講座に申し込んだ男性の記事を読んだことがキッカケだったといいます。「子供を有名校に入れるためなら何でもやる」という親は少なくないようです。

しかし、妻のミータにとってお受験は子供のためだけではありません。
学歴がなく上流でもないラージを恥ずかしく思い、子供のお受験を機会に 上流階級に入りたいという思いが垣間見えます。
ラージは妻の考えに違和感を感じつつも、彼女と出会ってから、ずっとそうしてきたように彼女の願いをかなえよう努力します。
しかし、悪戦苦闘の末に、これだけはどうしても譲れないというものが出てきます。

『めぐり逢わせのお弁当』では無口な男性を演じたイルファン・カーンが、お受験にそして親切すぎる隣人に振り回される姿はコミカルです。子供がいない、お受験なんて関係ないなんて人もパートナーと一緒に観てください。
最後にラージが下した決断とミータの反応を見たら、それまで当たり前だと思っていた関係を見直すきっかけになるかもしれませんよ。

『ヒンディー・ミディアム』予告編

映画『ヒンディー・ミディアム』
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好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。

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