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15歳の夏が原体験となった、深遠な人生の物語『愛を読むひと』

アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をや...

映画好きの日本人の間でしばしば論争になるのが、洋画タイトルにおける「邦題のイケてる・イケてなさ」である。
邦題につられて観に行ったのに、「題名全然関係ないじゃん!」と中身にがっかりしてしまったり、逆に、中身も最高、さらに邦題に込められた深遠な意味に気付くこともあったりする。

私が知っている洋画の中で、後者の代表例と言えるのが、GYAO!で無料配信(1月28日〜2月16日)される『愛を読むひと』である。


原題の『The Reader』を直訳すると、「読む人」。
原作小説では『朗読者』と訳されている。

実際映画の中では、読む人・朗読者が登場する。
しかしこの映画で重要なのは、
誰が、何を読むのか
どうやって、何のために読むのか
愛とは何なのか
愛を読むとはどういうことなのか、それが「ひと」にどう影響してくるのか......

映画のタイトルでネタバレはご法度なので、なんとなくのヒントだけ与えてくれて、映画を観終わった人にはなるほどそういう事か、と深く納得させてくれる。

私の方もネタバレにならない程度に映画の内容をご紹介しておきましょう。
映画の主人公はマイケル。
年齢は40~50歳くらいだろうか。
1995年のドイツで、法律関係の仕事をしている彼の朝の一コマをカメラがとらえるところから物語は始まる。
世間的にはまともな仕事につき、まともな大人なはずのマイケルには、ある秘密があった。

マイケル自身もその秘密を持て余していて、それが自分の人生に多大なる影響を与え続けていることを自覚している。
原体験である15歳の夏の出来事を思い出していくうちに、物語は思わぬ方向へ、そして深く深く進行していく......。

WeinsteinCo/Photofest/ゲッティイメージズ

劇中では、実にさまざまな作品が朗読される。
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』
チェーホフの短編小説『犬を連れた奥さん(The Lady with the Dog)』
ローレンスの問題作『チャタレイ夫人の恋人』
さらにはエルジェの大人気漫画『タンタンの冒険』まで朗読してくれる。

WeinsteinCo/Photofest/ゲッティイメージズ

タンタンはさておき、人はなぜ文学作品、とくに古典と呼ばれるものに魅力を感じるのだろうか。
『オデュッセイア』なんか、紀元前古代ギリシャの作品だ。
それでも、時代も場所も飛び越えて、多くの人々に語り継がれてきたからこそ、2020年の現在でも出版されているし、映画の題材として取り上げられている。

パソコンもスマホもない時代と現代を比較すると、科学も社会の常識も、信じられないくらい変化した。良くも悪くも、時代や常識は塗り替えられ、更新されてきた。

でも、人間は進化しない。ひたすら同じことを繰り返している。同じ過ちを繰り返す。

アホなことで悩むし、恋をするし、いまだに他人の気持ちは分からない。
ウソもつくし、隠し事もするし、自分のことを正当化する。
人を傷つけるし、自分のプライドを守ろうとする。

一方で、人は人を愛する。
愛する人を全力で守ろうとする。
美しい風景や言葉に触れると、どうしようもなく感動して涙する。

そして、そんなことを大なり小なり私たちもやっていましたよ、と古代・近代・現代の作家たちが、文学作品を通してささやいている。

......何度も同じような失敗をして、自分全然進歩しないなーなんて思うことも多々ありまくる現代人にとっては、なんだか安心するではないか(笑)

人間は、自分自身の考えや言葉だけでは表現しきれないほどの大きな悩みや、はたまた、とんでもなく素晴らしい出来事に出会ったとき、処理しきれない感情の処理を文学作品に頼るのだと思う。

そしてその作品が、また別の悩める誰か、または幸福な誰かをインスパイアして、別の文学作品、ひいては映画を含む芸術作品を生み出していく。

『愛を読むひと』は、いろいろな意味でドキリとするシーンがいくつかある。
でもそこで変な偏見を持たないで、とにかく最後まで観すすめてほしい。
映画を観終わった後にはきっと、複雑で深い物語構成を考えた原作者と監督と、最高にイケてる邦題を思いついた訳者の方すごい!と思えるはずだ。

(C) 2008 TWCGF Film Services II, LLC. All rights reserved.

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アカリ
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恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をやらされた経験アリ。『Lolita(1997)』『SATC』大好き。

記事はここで終わりです。

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