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私たちはなぜ映画を観るのか。3つの映画作品から考えてみる。

アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をや...

コロナ禍で、私たちはいろいろなものを見直すことになった。
映画に対する各人のスタンスも、その一つだと思う。
私たちはなぜ映画を観るのか。

ロックダウンのような状況の中、映画館に行くことは一時的に難しくなった。
(今は各映画館が感染症対策を頑張っていて、観客が戻ってきているというニュースを聞いて嬉しい)
一方、外で楽しむ娯楽が減ったおかげで、家で映画を観る時間はたっぷりできた。
さて、ではこの期間、皆さんはどんな映画を観ましたか?

私はあまのじゃくなので、以前は、あまりにメジャーでど真ん中な娯楽映画は意識的に避けて観ないことがほとんどだった。
でも自粛期間中、なんだか王道の娯楽映画が無性に観たくなって、オーシャンズシリーズを一気見した。

中でも、今回取り上げる1つめの映画である『オーシャンズ8』は、批評家からの評判は厳しいとも聞くけれどウィメンズ・パワー全開で、ミーハー心に火をつけられて思わずワクワクした。

Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

水戸黄門のような「お約束」な展開も痛快だった。
でも一方で、画面のこちら側ではコロナという難解な問題にいまだ解を見つけられずにいる私たちの困難な現実を突き付けられているようで、悲しくもなってしまった。
私たちの生きる世界は、数か月前までもっと単純で、痛快なものではなかったか。観客に夢を与えるはずのきらびやかで「密」なメットガラは、今ではちょっと違う意味で夢を与えてくれる、遠い時代のおとぎ話のようだった。

そんな痛快映画の一方で観ていたのが、これまたレビュー評価が相対的に低い、訳あり作品たちだ。

2つめは、『オーシャンズ8』にも出演しているケイト・ブランシェットがシリアスな役どころを演じる『バベル』。

Kobal/SummitEntertainment/TheKobalCollection/WireImage.com

『バベル』は公開当初、風変わりな物語の設定や菊地凛子のアカデミー賞への期待が相まって話題となり、ふたを開けてみれば賛否両論にきれいに分かれることになった。

Kobal/SummitEntertainment/TheKobalCollection/WireImage.com

時代や国境を越えて私たちを悩ませる、人間の普遍的な愚かさを描いた秀逸な作品との見方もあれば、批判的なレビューを見てみると、「暗い」「何を伝えたいのか分からない」。

一人一人の何気ない行動が、一つ一つ掛け違っていき、じき崩壊を起こすバベルの塔。
確かに娯楽映画を期待した人にとっては、共感不能で陰鬱な時間が続く。
しかし一つ一つのボタンの掛け違いや、登場人物たちの不幸な出来事が続く2時間半は、今それと似た経験をした/している人にとっては、見知らぬ親友からの告白を受けているような、不思議な安心感が与えられる2時間半となる。

Kobal/SummitEntertainment/TheKobalCollection/WireImage.com

3つめは、『オーシャンズ8』にも出演しているアン・ハサウェイが出演し、これまたレビューが賛否両論に分かれている『ワン・デイ 23年のラブストーリー』。

一人の女性と一人の男性の23年間を、毎年の7月15日だけを切り取って描くというロマンチックなストーリーだ。
ネタバレを避けるために詳細は語れないが、単純なラブストーリーを期待した観客にとっては、ちょっと受け入れられにくい内容が含まれている。

FocusFeatures/Photofest/ゲッティイメージズ

現実逃避したくて娯楽映画やロマンチックな映画を期待した観客にとってはがっかりだが、私たちの人生はもっともっと受け入れられない・受け入れたくない内容であふれている。
それらをオブラートで優しく包んで、痛みや毒性を少し弱めて、現実の世界で生きること、人と接することの意味を改めて考えさせてくれる。

コロナ禍では、愛する人にはなかなか会えない。
むしろ、相手のことを大切に思えば思うほど、なかなか会えない状況が続いている。
一方で、面と向かって顔を合わせなくとも、オンラインで私たちは容易に人を傷つけ、人に傷つけられている。
現実の世界で人とどう触れ合い、愛し、傷つけていたのかの感覚が次第に鈍くなっているのを感じたりする。

でも、映画の中で人が人に触れ合い、愛し、傷つけていくのを観ると、
そうか、私たちがちょっと前まで生きていた世界はこんなに美しくて最悪で、どうしようもない世界だったのだと気づかされる。

映画は、時には現実離れした夢のような世界に連れて行ってくれるし、時には現実よりも現実らしい世界を私たちに直視させる。
残念なことに「終わらない夢はない」し、幸いなことに「終わらない不幸もない」。

私たちはなぜ映画を観るのか。
全ては映画を観終わった後の現実を生きるため、また次の映画を観ることにしよう。


>『オーシャンズ8』作品情報・ユーザーレビューはこちら >『バベル』作品情報・ユーザーレビューはこちら >『ワン・デイ 23年のラブストーリー』作品情報・ユーザーレビューはこちら

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アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をやらされた経験アリ。『Lolita(1997)』『SATC』大好き。

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