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【PR】豪快さを受け継ぎつつ、バブル崩壊への切なさも...。これぞ、シーズン2の役割!

斉藤博昭
斉藤博昭

映画専門のフリージャーナリスト、フリーライター。ダンサー経験もあるのでミュージカルにはうるさく、幼い...

Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督 シーズン2」 Netflixにて全世界独占配信中

1990年ーー。
今から31年前。そう、バブル崩壊のまさに、前年である。
それまでの数年間、日本では異常ともいえる好景気が続き、どこもかしこもイケイケ状態。世の中全体が上昇気流に乗っていればよく、何も考えずに金を使いまくり、「今」を楽しんでいた。

この「全裸監督 シーズン2」は、そんな1990年からスタートする。つまりバブル崩壊直前の狂騒から、物語が突っ走っていく感覚だ。

すでにシーズン1で、主人公、村西とおるの豪快な日常は、バブル景気をバックに、過激なエピソードとともに展開していた。アダルトビデオ業界の帝王になるまでの奮闘を、ハワイ上空を飛ぶセスナ機の中で「行為」を撮影するなど、その突拍子もないアイデアを赤裸々に再現。"社会現象"にまでなった黒木香との蜜月など、過去のドラマでは絶対に不可能なセンセーショナルな描写に、多くの人が目を疑った。

このシーズン2は、「全裸監督」の持ち味である過激さ、センセーションはもちろんキープしつつ、日本のバブル崩壊を予告するかのように、どこか切なく、危うく、壊れやすく、胸をヒリヒリさせるムードが裏側に静かに漂っており、そこがむしろ、観る人にとっては目を背けたくなる過剰さで楽しませたシーズン1以上に、感情移入してしまう要因となる。

アダルトビデオのシリーズものを次々と制作し、「全日本ナイス党」を旗揚げして国政選挙への出馬ももくろんだ村西とおる。冒頭から、シーズン2の勢いは全開である。そんな彼が次の目標に据えたのは、限りない可能性を秘めた「衛星放送事業」への進出。地上波のテレビでは絶対に流せない自社の作品を、衛星放送なら送り届けられると信じて......。文字どおり「空からエロを降らせる」ために、村西の強引な奮闘がスタートする。

Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督 シーズン2」 Netflixにて全世界独占配信中

NHKの衛星第1テレビジョンの放映が始まったのは、1989年。そしてWOWOWが開局したのが1991年。まさに、舞台となる1990年は衛星放送事業の勃興期で、なんとしてもそこに乗っかりたい村西の執念は凄まじいばかり。演じる山田孝之も、このシーズン2は最初から、とりつかれたような目で演技を続けている。すでにシーズン1で村西のキャラを確固としたものにしてあるので、今回は役そのものとして動いている印象が、より強くなった。

「黄色と黒は勇気の印」などの人気CM、レンタルビデオ店、カメラの「写るんです」、ポケベルなど、当時のカルチャーが今回も要所で、キャッチーな感じで再現され、渋谷や新宿の雰囲気、人々のファッションや髪型など、細部まで徹底された「1990年」は、その時代を記憶する人にも、そうでない人にとっても楽しすぎる。使われ始めたばかりの巨大な携帯電話も登場するが、時間が進むと、ちょっぴり小型になってるなど、こだわりの再現には感心するばかり。

1990年の世相をバックに、村西とおるの猛突進ストーリー軸にしつつ、このシーズン2は、黒木香との「監督と俳優」「男と女」の両面の複雑な関係、そしてシーズン1の終盤でヤクザとなった元相棒・トシの運命が、ドラマチックに絡んでくる。ラブストーリーとしても、観る人によって心がヒリヒリと痛み、共感できる部分があり、そこはかなり意外なのでは? 村西の山田孝之、黒木の森田望智、トシの満島真之介は、もはや役が憑依しているレベルだし、玉山鉄二はシーズン1とは違う意外な一面も好演。宮沢りえ、吉田栄作、伊原剛志ら新たに加わった豪華な面々も、それぞれの役を楽しんで演じているムードが伝わってくる。カメラマン役の永瀬正敏など、短い登場シーンのキャストたちも「らしさ」満点なのである。新キャストの中では、村西の新たなヒロインとなる恒松祐里がピュアな存在感。

Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督 シーズン2」 Netflixにて全世界独占配信中

シーズン1と同様に、次から次へと事件が起こり、問題が発生し、小気味いい会話でテンポよく進むので、どんどん観続けてしまう印象は変わらない。しかし繰り返すが、今回はバブルの崩壊とともに、村西を含めて登場人物の切なく、やるせない未来がちらつき、破壊的なまでにハイテンションで笑わせながら、どこか胸を締めつけてくる。その「ほろ苦さ」が、これまた味わい深いのである。

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斉藤博昭
斉藤博昭

映画専門のフリージャーナリスト、フリーライター。ダンサー経験もあるのでミュージカルにはうるさく、幼い頃からあこがれの国だったイギリスの映画が大好物。ベスト1本挙げるなら『ザ・コミットメンツ』。

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